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ペットとの暮らし

犬の社会化について

 こんにちは!今回のテーマは“犬の社会化について”です!犬の飼育の本や犬についての話を聞いてる時にどこかで「社会化」という言葉を聞いたことがあると思います。「社会化」とは何か。犬にとってどういうものなのか。大事と言われるけど何故大事なのかなど、みなさんに理解していただけるようまとめました。

社会化とは?

 社会化とは「視覚や聴覚、嗅覚、触覚に様々な刺激を受けて、生活環境中の様々な刺激に対して適応能力を身につけること」です。つまり、「生活する上でのいろんな刺激に慣らすこと」です。
 そして、子犬の一時期に特に様々な刺激に慣れやすい時期があり、その時期を「社会化期(あるいは感受期)」と呼びます。「社会化期」は生後3週齢頃~12週齢頃のことを指します。
 社会化期は動物が仲間との絆を形成する時期で、通常は両親や兄弟などの同種の動物です。しかし、飼育下の子犬は人間や、場合によっては猫などの他の動物とのつながりをも形成していくことになります。
 また、社会化期の子犬は周囲の環境に対して柔軟で、この時期に慣れたものに対しては成犬になっても過剰な反応を起こすことはありません。したがって、この時期に様々なものに慣れさせることで、その後に遭遇する様々な環境中の刺激を受け入れやすくすることができます。

何に社会化していくのか?

 社会化させていくことが重要なのはわかったけど、何に社会化していけばいいの?と思われる方もいると思います。それは、犬たちが生活する上で経験するであろう刺激、全般です。
 例えば、飼い主以外の他人、犬同士の関わり方、車やバイク、電車、掃除機、赤ちゃんの泣き声、インターホンなどの様々な音、車に乗ること、病院での処置、様々な場所での散歩など、社会化する対象をあげていくときりがありません。
 しかし、子犬にとってはそれだけ社会は知らないことやモノで溢れているということです。子犬を飼うと決めたなら、人間主体でだけでなく、時に子犬側の立場になって物事を捉えてみることも重要なことです。

社会化リスト

  • 赤ちゃん
  • 子供(男の子・女の子
  • 成人(男性・女性)
  • 年配の方(男性・女性)
  • ジョギングをしている人
  • 帽子やマスクをつけている人
  • 眼鏡をかけている人
  • 傘をさした人

場所

  • 動物病院
  • ペットショップ
  • トリミングサロン
  • 公園
  • 商店街
  • 道路

  • 犬具(カラー・リード)
  • クレート・キャリーバッグ
  • 自転車
  • バイク

 上記はまだまだ一部で、人間社会で生活していくうえで考えられるもの・こと全てが対象です。

社会化のやり方

 社会化トレーニングの基本は犬に楽しいと思わせ、対象のものに対して良いイメージをつけていくことに尽きます。その為に、犬の大好きなことや物はしっかり把握しておきましょう!例えばご飯、おやつ、遊びなどはすべて当てはまるでしょう。これをしっかり活用してトレーニングしていくことが大切です。

 例えば他人に慣らしていくのであれば、普段から大好きなご飯やおやつを少しずつでいいので他人から与えてもらっておくとよいでしょう。犬に慣らしていくのであれば、ドッグランなどの犬を遊ばせられる環境で、楽しく遊ばせてあげるのが有効です。病院やサロンでも嫌なことだけでなくおやつを与えてもらって楽しい思いもする。とにかく犬に楽しんでもらう。これが大切です。

社会化がうまくできないと…

 犬の問題行動の中で重要になるのは「攻撃性」です。特に人間への攻撃は、最悪の場合、犬を安楽死させなければならないケースまで発展することがあります。そこまでいかなくても、他人に慣れることなく成長してしまうと、散歩中に他人へ吠えかかり、咬んだりしてしまう可能性があります。すると散歩に行くこと自体が苦痛になってしまいます。また、それは対象が人間の場合だけでなく、他の犬や車、バイクなどでも同じことが言えます。

 このように社会化期に他人や他犬と接する機会が少なかったり、特定の人や犬としか接触していないと、将来知らない人や犬を怖がる可能性が高くなります。また、女性としか接触しなかった子犬が男性を怖がるようになったり、子どもと接する機会がなかった子犬が子どもを怖がるようになるという例もあります。上記の社会化リストはほんのごく一部ですが、子犬のうちに慣らしておきたいものですので参考にしてみてください。

社会化とワクチン

 今まで記述してきた通り、生後12週齢頃までに人間社会の様々な刺激に慣れさせておくことはとても重要です。しかし、子犬のワクチンがすべて打ち終わり、免疫機能がしっかりする頃には既にこの時期を過ぎていることが多いです。つまり、社会化期とは子犬の心の成長の為には外出して慣れさせた方が良く、身体の健康の為には外出するのは不安が残る時期でもあるのです。

飼い主さんには「お散歩に行っても大丈夫!」とは言い切れない部分は確かにありますが、やはりその後のことを考えると抱っこの状態でもいいので外に出してあげることは大切だと思います。もちろん、最後の判断は飼い主さんにゆだねられますが、人間の場合でも免疫力がしっかりする年齢まで赤ちゃんを家に閉じ込めることはないでしょう。犬も同様に考えていただければ、多少不安が残っても早い段階で周囲の環境に慣れさせていく方がよいと思います。

社会化の注意点

 社会化はとても大切なことなのは明らかですが、それだけで犬の問題行動をすべて予防できるわけではありません。生まれつき怖がりの子犬を社会化によって勇敢な性格にかえることはできませんし、持って生まれた気質までは変えられないのです。しかし、だからこそ将来できるだけ様々なものを怖がらないように社会化をしておくことが大事なのです。

 また、怖がりの性格の子犬を社会化する際、注意しないと問題を悪化させてしまう場合もあります。やりがちなことではありますが、怖がりの子犬を刺激に慣れさせようと、無理やり近づけて「大丈夫だから慣れなさい」とやってしまうと、子犬からすると怖い思いしか出来ないのです。これを過剰にやってしまうと、飼い主さんは慣れさせたくてやっていても、犬はどんどん怖がってしまい、結果として慣れるではなくトラウマを作ったことになってしまいます。

 社会化トレーニングはあくまで仲良くさせたい対象と楽しく過ごさせることがポイントで、無理やり一緒にさせることではないことを、ぜひ覚えておいてください!そして楽しんでいるのか怖がっているのかの判断は犬の様子をよく観察して下すようにしましょう!

社会化は一生をかけて

 社会化トレーニングは、出来るだけ早く始めるのがうまくいくコツですが、社会化期を過ぎると不可能というわけではありません。この時期を過ぎると徐々に難しくなっていくと考えられ、時間をかけてじっくりと楽しい経験を積み重ねることで社会性のある犬に育てることは不可能ではありません。また、たとえ社会化期にトレーニングをしても、その後ぱったりとやめてしまうと、逆戻りして怖がりになってしまうこともあります。

 社会化トレーニングは少なくとも成犬になるまではしっかり継続し、その後も少しずつであっても一生続ける気持ちで取り組みましょう。

 今回は文字ばかりになってしまいましたが、それだけ濃くて大切な内容となっていますのでぜひ読み込んでみてください!今回はあまり具体的な例ややり方までは載せていませんが、ドッグトレーナーに聞いていただければいつでもじっくりお話致しますので、興味のある方はどしどし質問してください♪